私は貴方に、叶わない恋をした。【続編】
店に入ると、一斉に中にいた店員さんやお客さんの視線が集中する。
「!」
一瞬、身体が硬直してしまった。
「ねぇ、永井。どこの売り場に行けばいいと思う?」
ヤスはそんなことを気にしてないみたいで、キョロキョロと店内を見渡している。
「…」
高校生が制服姿で、しかも手を繋いでベビーショップって…
明らかに、勘違いされている!!!
「や…ヤス、とりあえず手は離さない?」
「え?永井はイヤだった?手繋ぐの」
「イヤとかじゃなくて…」
ヤスは本当に気付いてないの?この痛い視線。
「大丈夫だよ。今日は俺の母親の出産祝いを買いに来たんだから。何もやましいことはない」
「そうだけど…」
やっぱヤスも気付いていた…
確かに、やましいことはない。
けど、けど!!
「あ、永井ごめん。電話だ。ちょっと、外で電話してくるから待ってて」
パッと、ヤスの手が離れた。
「すぐ戻るから、ごめん」
そう言うと、ヤスは店から出て行った。
一人店内に残され、また視線を感じる。
「…トイレ行こ」
視線に耐えきれず、ヤスが戻ってくるまでトイレに避難することにした。