私は貴方に、叶わない恋をした。【続編】




店に入ると、一斉に中にいた店員さんやお客さんの視線が集中する。


「!」

一瞬、身体が硬直してしまった。

「ねぇ、永井。どこの売り場に行けばいいと思う?」

ヤスはそんなことを気にしてないみたいで、キョロキョロと店内を見渡している。


「…」

高校生が制服姿で、しかも手を繋いでベビーショップって…


明らかに、勘違いされている!!!



「や…ヤス、とりあえず手は離さない?」

「え?永井はイヤだった?手繋ぐの」

「イヤとかじゃなくて…」

ヤスは本当に気付いてないの?この痛い視線。

「大丈夫だよ。今日は俺の母親の出産祝いを買いに来たんだから。何もやましいことはない」

「そうだけど…」

やっぱヤスも気付いていた…


確かに、やましいことはない。

けど、けど!!



「あ、永井ごめん。電話だ。ちょっと、外で電話してくるから待ってて」


パッと、ヤスの手が離れた。


「すぐ戻るから、ごめん」


そう言うと、ヤスは店から出て行った。



一人店内に残され、また視線を感じる。



「…トイレ行こ」


視線に耐えきれず、ヤスが戻ってくるまでトイレに避難することにした。








< 8 / 107 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop