Visual My Brother
ここで会話が途切れたので
終わりかと思ったが、
すぐにおっさんが口を開いた。


「おじさん制服はねぇ~
ひざより上のスカートの方が
いいと思うんだ。
だってその方が女の子らしい
だろ?
あんまり丈が長い子は
好きじゃないなぁ~。
あの布キレからちらって見える
ぐらいがいいんだって。ホント。

あ、あとおじさんは
ブレザーよりカーディガン派
なんだよ。
そっちのほうが元気そうだし。
軽くみえる。

髪型は長いのより少し短めの
ほうが好きだよ。たとえば
ユキちゃんみたいな・・・」





こんなおっさんのキモイ独り言
は当然耳にしないで、私は
別のことを考えていた。



そーいや、あいつは
どうやってネロに変貌
したのだろうか。




私はドアのガラスにもたれ
かかった。
前髪が横に揺れた。


もちろん、兄なのだから
違うところですくすくと
育ったわけじゃない。

ネロになるという誤った
道を歩むまであいつは
普通の一般人だった。


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