Visual My Brother
遠くを眺めた。
ビルに隠れた山が微妙に
赤色に染まっている。
いやだなぁ、と思った。
前のお兄ちゃんだったら
大好きだったのに。
自慢できる人間だったのに。
あんなことがなかったら・・・。
今でも大好きだったんだろう。
仕方ない。
おっさんのオタク話も終わらない
感じなので、ヒマつぶしに
普通のお兄ちゃんがどうやって
ネロに変貌したのかを思いだし
てみることにする。
信号が赤になって、
私が乗っているバンが止まった。
当時お兄ちゃんは
高校2年だった。