Visual My Brother
当時7才だった私と家族はその
試合の応援にかけつけていた。

天気は暑苦しい晴天。
でも慣れてるお兄ちゃんには
意味が無いようなものだから
平気だったんじゃないかな。


競技場の広さに驚き、
スタンドの高いところに
座ってお兄ちゃんが出てくる
までほかの選手の走りを
眺めていると、あっというま
にお兄ちゃんの出番になった。




やっぱ遠くから見てもがっしり
してた、と思う。

人一倍黒いから目立つ目立つ。
みんなどよめいてたし。




レーンに並んで構える様子は
本気で集中していて、少し
恐かった。


ビジョンに
『静かに・・・』
と出てきた瞬間に競技場が
さっと静まりかえったのを
しっかりと覚えている。






『パンッ』

号砲。
みんな一斉に走り出した。



お兄ちゃんは

レーンの内側から二番目に
並んでいたのに








ビリだった。




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