Visual My Brother
『がんばれぇ!!あと少し!』
私は応援することしかできない。



コースの4分の3ぐらいに
差し掛かった。


お兄ちゃんがスパートをかけた
のがはっきりと分かった。

姿勢がガラッと変わり、
本気のモードになる。

足が地面を軽やかに蹴る。
あの黒い髪のなびく様子が
激しくなる。


1番との距離が縮まっていった。

あと3m。






私は、いける、と確信した。



あと1メートル。





みんなお兄ちゃんを見ていた。

なぜなら最下位から這い
上がってきた奴が今1番の奴を
追い抜かそうとしているからだ。




こんなこと、めったにない。



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