Visual My Brother
とりあえず私はお兄ちゃんの
横に正座して座ると、
お父さんがいきなり語り出した。



「ユキ、お兄ちゃんの高校から
電話があったんだ、

『受験をしない様なので家族で
一回話し合ってみてください』

って・・・。歌手なんて
なれるわけないんだけどな」




え、アレ嘘じゃなかったの?
本気で歌手になるつもり?

お兄ちゃんにコソコソ話で
聞いてみる。


「本気で?」

「嘘でこんなこと言うかよ」




いや、嘘で言うことだと思う。


「・・・なんでこんな雰囲気
なってんの?」




「えーと」



お兄ちゃんは首の後ろをかくと
さっきよりも声を小さくして
言った。


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