Visual My Brother

結局、食べてしまった。
箱の中にケーキの下に付いてる
紙を入れると、近くにある
ゴミ箱に捨てた。


ごめんねネロ。
でも金持ちなんだから
ケーキぐらい買えるでしょ。






そのとき、後ろから

『パシャッ』
とシャッター音が聞こえた。






急に寒気がしてきて
後ろをいそいで振り向くと

おっさんが何かを隠すような
動作が見えた。



私、盗撮された?




「今、何撮りました」

私はわざと怖い声で聞いた。



おっさんはあわてて

「ん?なんのことかな?」

と言う。
ウソつけ。冷や汗出てるし。



とぼけた事に本当に腹がたって、
私はおっさんの背後に走って
回り込んだ。




おっさんがデカイ背中で
隠していたのは、
ケータイだった。


画面には私の下半身が
撮影されていた。

さっき箱を捨てにいったとき
撮られたんだろう。

いつの間に。気が付かなかった。
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