Visual My Brother
「昨日は夜遅くまで
収録があったらしいからねー、
それがきいてるのかも」


私が助手席に戻ると
車が動き出す。


おっさんはまだ話す。

「でもこんな風に毎回後ろで
寝られるとこっちも
疲れてるなら仕方ないな、
って同情しちゃうんだけどね」




「ずっと起きてたこと
ないんですか」



「んー、ないみたいだな。
あるウワサではナゼか疲れて
帰るのもしんどかったから
証明器具の裏で一日寝てたって
こともあったらしいよ」



「ふーん」




「まあ、それくらい疲れて
いらっしゃるってことだよ」



「・・・」







この会話以降、ネロの家に
着くまで誰もしゃべらなかった。




おっさんのきもい話も
特になかった。
ケータイの逆パカが
効いたのだろう。



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