Visual My Brother
鏡はやっぱり一つ一つの破片
にちゃんと私を写していた。


さっきの男が頭の中に出てき
て、ニヤッと笑ってきた。


急に寒気がし、私は火に
触ったように鏡を公園の
くず籠に投げ入れた。

見事に入ったのを確認する。
鏡が反射してキラリと
光った。

もう思い出したくないので
さっさと歩く。







そういえば何で
こんなことになったのだろう。


ふつうの人間にあんなことを
されたら、無視してどこかへ
行くはずなのに。


不気味な言葉で話しかけて
きたから?それでも私は無視
すると思う。





私が無視しなかったのは、
あのヴィジュアル系の格好
のせいだと思う。






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