Visual My Brother

あくまで、あくまで私の
知っているお兄ちゃんはいったん
寝るとなかなか起きない。
ほっとくと一日中寝る。



なので我が家でつけた
その状態名は
縁起が悪いけど

『永眠』。




「お兄ちゃんは?」

「永眠中」

という具合で使っていた。




陸上の練習には大体いつも
遅れていた。
家にも顧問の先生から苦情が
何回かきて、家族を困らせてた。



その永眠から覚醒させようとして
無理矢理布団の中からひっぱり
出そうとすると、部活で鍛えた
黒くたくましい腕でアッパーを
受けるハメになる。


私はその被害者、つか
家族全員被害者だった。





ふーん、
今も治ってないんだ。






私は車に乗り込む。
ネロは何も知らずにただ
のんびり寝ていた。





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