Visual My Brother
それよりいいねぇその顔。
え、何で?みたいな。
こっちはドッキリ大成功の
気分だよおかげで。






「つ、着きましたよ」

後ろで見ていた
おっさんがおそるおそる
言う。



ネロは手を上げて答え、
勝手にゆっくりとシートから
立ち上がり車から出て軽く
伸びをする。



私はそれを見届けてから
自分の残りの荷物を
かかえた。


手ぶらで階段を上っていく
ネロに続いて上ろうとしたが
後ろからおっさんが
ついてきていることに
気がついた。

おっさんがネロに聞こえない
ように小声で私に囁く。




「あの・・・なんで
豆腐投げつけるぞって
脅したら起きるの?」



私はああ、と声をもらした。




「ネロって高校の時
陸上やってたんですよ」




おっさんはびっくりしてた。


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