Visual My Brother

「遅い」

先に上っていた何も知らない
ネロが階段にいる私達を見て
言った。


すいません、とおっさんは謝ると
再び階段を上り始める。

私もついていった。




ネロ以外の私達が玄関の中に
荷物を全部置くと、おっさんは

「じゃ、失礼します」

と言った。
ネロはさよならの代わりに

「オタクは卒業しろよ」

と言った。
おっさんは苦笑いを浮かべると
ドアを開けて振り返らずに
出ていってしまった。

ちょっとかわいそうかも。






「・・・さて、お前の部屋か」

ネロは私を見下ろす。


「荷物持って来いよ」
そういうとスタスタと家の奥へ
行ってしまった。
突然持って来い、と言われた
私があたふたしてる間に
完全にネロを見失った。


戻ってくるだろうし待っとこう。




私は玄関をながめてみた。

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