純愛小説家
三嶋の言葉だから、なんだろうか。


「批評家っていうの?ああいう人達とは違うかもしれないけど。ネットとか見てても、私と同じ意見が大半だよ」


あぁ、そっか…。

すんなりと、俺の中に入ってきて。

別に、行き詰まっていたわけじゃない。
迷いがあったわけでも。

それでも、

このままでいいんだ。

思ったら。
妙に楽になった俺がいた。

ベストセラー作家、呼ばれてはいるものの。
物書きとしては、まだまだひよっこの域。


「…そっか。ありがと」
「えっ?」
「なんか、ん…。サンキューな」
「あ、うん…。なんか、お礼とか、照れるね」


そんな俺が、批評家は充てにならないとか、生意気なんだろうけど。

俺もちゃんと、


─物書きなんだな


意識があるとわかって。
ホッとしたりもした。

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