純愛小説家
その帰り道。
タクシーの中。

信号待ちで止まった窓から、藍田に聞かされてたカフェをみつけて。


“ここか……?”


瞬間、ドキッとした。

彼女。
三嶋が、


“いるかもしれない…”


一瞬、頭を過ったせいだろう。

でも。


“……………”


すぐに信号が変わり、タクシーが動き出して。

それでも、名残惜しく、振り返ってる俺がいて。


─居るか居ないかも分からないのに…


ふと、我に返って。


─どこまで焦ってんだよ…


そんな自分に、少し呆れた。

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