純愛小説家
もちろんこの先も。


「ない」
「だよなぁ」


話すつもりはなかった。


「で。宥はどこ行ってたって?」
「…取材」
「取材?ってまさか海外とか…」
「まぁ…」
「さすがだなぁ~。このご時世で海外取材させてもらえるなんて。ベストセラー作家は扱い違うなぁ~」
「…みやげはねーぞ」
「へっ…?今なんて?」
「みやげは、ない」
「はっ?嘘だろ!?この大親友に!!」
「無いものは、ナイ」
「マジかよ~…」


正直。
藍田には救われていた。


「はい。仕事仕事」
「この。けちけちヤローめ!」
「…マジで。原稿落とすかな…」
「!いや、冗談。っつーか。なんか聞こえたか?」

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