純愛小説家
新居に戻って、仕事部屋。

手帳に、藍田から聞いたカフェの名前の走り書きを見つけて。
やっぱり、


“あの店だ…”


確信したものの。
俺はすぐには動かなかった。

少し休んでからで…。

と、藍田がくれた『猶予』は、ほんの2日ばかりで…。


『打ち合わせ。三嶋のとこにする?』


俺はそれを断った。


「そこは、避けたい」


藍田は、


『あぁ、そっか。三嶋いたらバレるしな』


その理由を、そう解釈してくれて。


『じゃあ、違うとこで』


そのカフェとは逆方向にある、


『そこもいい感じだから』


知り合いにも、


『会わないはず』


隠れ家風の店にしてくれた。


『けど。三嶋なら、ばらしたりしないと思うけどな』


ボソッと。
ひと言つぶやいて。

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