純愛小説家
そんな状態のまま。
気づくと、あっという間に1ヶ月が過ぎようとしていた。

藍田に頼まれてた短篇もほぼ出来上がり。

そう言えば、


“今日だったっけ。新刊の発売日…”


気分転換に、散歩していた帰り道。
書店の前を通りかかって。
いつもはそんな事しないのに、


“ちょっと、覗いてみるか…”


ふと、まるで吸い寄せられるように。
俺は売り場へと、足を運んでいた。

何か、予感があったのかもしれない。


【矢野 伊月 最新刊!本日発売!!】


手書きのポップ。
そこに積み上げられた新刊の前。


「………───」


一瞬。
俺は、呼吸を忘れた。

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