純愛小説家
琴音の着信をチェックしてるわけじゃないけど。


毎日のデンワ。
困らせて…。


その話からいって、おそらく、最も傍にいる存在。

相手は、マネージャー、なんだろう。

俺にカラダは預けたものの。
涙は、なんとか堪えていて。


「俺の前でくらい。泣けば?」
「…いや」
「少しは楽になるんじゃないのか?」
「だって…。泣いたら負けみたいな気がして…」


多分。
我慢も限界のはず。
琴音らしい、と言えば、琴音らしいんだろうけど。


「琴音。恋は勝ち負けじゃないだろ…」
「…………」


俺はどうしても、泣かせてやりたくて。


「タイミング、だよ…。出会うタイミングが、悪かったんだ」
「…タイミング…?」


琴音に言い聞かせつつ。
それは、俺自身に言い聞かせてた言葉、なのかもしれない…。


「琴音は。出会うのが少し、遅すぎただけだよ。負けなんかじゃない」
「…宥…」

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