純愛小説家
自宅近く。
飲食店と言っても、そんなに数がなくて。

何気に気になっていた、中華料理店に入った。


「中華、大丈夫?」


そこはしっかり、三嶋に確認して。


「ここ、おいしいって聞いてて。気になってたんだ」


強引に。
しかも、多分仕事帰り。
まともに返事も聞かず、連れ出してしまったのに。


「そうなんだ…」


嫌な表情(カオ)ひとつしない三嶋に、俺は謝るタイミングを失っていた。


「うん。エビチリが絶品らしいよ」
「じゃあ、頼む?」
「ん。頼もう」


あの頃と変わらない。
面影そのままの、笑顔…。

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