純愛小説家
12.さよならの瞬間(トキ)
あのあと…。

昨日はなんとなく、寝つけなくて。

ベッドに入ってから、新しく受けた雑誌の、短編ストーリーの設定を考えて。

なんとなく。
琴音にメールをした。

【大丈夫か?】

たったひとこと。

返事がきたのは、うとうとしはじめた明け方。

【うん!】

その返事にホッとして。
俺は少しだけ眠った。

目が覚めたのは10時過ぎ。
取りに行かなきゃな…思って。


「ありがとうございました」


まだ眠く、だるいカラダでそれを受け取りに行って。

仕事部屋。
デスクの上。


「………………」


俺はその包みを、静かに置いた。

今日。
三嶋に返されてしまうだろう、それを…。

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