純愛小説家
三嶋のパスポート。
シンガポールは、その婚約者の赴任先…。


「私、ずっと、言えなく…て…」
「いいよ、ひかり。言ったろ?はじめから。俺は知ってたんだよ」
「でも…」
「知ってて。抑えられなかった俺が悪い…」
「宥……」


それを知ったのは、三嶋に逢う直前。

それは、逢わない方がいい、警告だったのかもしれない。

打ち合わせ中。
三嶋の叔母さんが、たまたま話してるのが聞こえたらしく。
藍田からそれを聞かされて。

それでも。

あの日、俺は誘わずにいられなかった。
昔の想いだったとしても。
伝えずには、いられなかった。

< 234 / 298 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop