純愛小説家
俺は最後にもうひとつ。
バカな罪を犯す。


「でも…。あとひと言、言葉にできるなら…」


俺は、ポツリと呟くように口にすると、仕事部屋。
“それ”の包みをほどいて。


「これ…」
「…えっ…?」


泣きじゃくる三嶋の手の平。
“それ”をのせた。


「俺からの。最初で最後のプレゼント」


手の平にのるくらいの、おそらく、それを手にしたのは、二度目だろう、その箱を目にした瞬間。


「っ…!」


三嶋の顔色が変わった。

きっと誰もが知っている、スカイブルーの箱。


「サイズ。合うといいけど…」
「待っ、て。宥、これ…」


そのロゴが書いた箱を開けて。





「愛してるよ。ひかり…」





キラキラと輝く、その小さな石が顔をのぞかせるのを見て。





「愛してる……」





俺はその言葉を、口にした。

< 238 / 298 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop