純愛小説家
13.小さな希望
「映画大ヒット。おめでとうございます!」
「いいえ、こちらこそ。ありがとうございます」


あれから3年。


「素晴らしい監督や、出演者の皆さん、スタッフの皆さんのおかげです」
「いえいえ!素晴らしい原作あってのことです!」


三嶋と終わって、東京に戻り。
その後に書いた作品が、また映画化されて。


『すっごいね~。称賛の嵐でしょ』
「…だな。とりあえずの建前的なものなんだろうけど…」
『…相変わらず、冷め冷めだね』


主演は、人気俳優のアキラ。
その相手役が、琴音。


『100万部越えての映画化でしょ?私は原作のままの方が、断然、良かったと思うけどね』


去年、その映画化が決まった時。
はまり役は、

私しかいない!

監督に、自ら長々と手紙を書いて。
この役を射止めたらしい。

まぁ。
確かに、今回は琴音をイメージしていたし。
女優としての、じゃなく、素の、琴音、だけど。


「脚本も良かったけどな」
『ヒットしてるし。悪くはないけどね』


逆に。
あまりに素な部分が多くて、やりにくかったらしいけど。

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