純愛小説家
「今もなんだろうけど。明らかにオーバーワークだったし。まぁ、それを分かっていながら、連載かいて貰ってたのは俺なんだけど…。いつでも、きっちりしっかり書き上げてくるからさ。書けなくなったって連絡もらった時。宥も普通の人間なんだって。ホッとした。休載も、俺からは上に言い出せなかったから。これで、休ませられる、ってさ」


ちょっと照れくさそうに。
でも、申し訳なさそうな表情も浮かばせつつ。

言い終えると、ジョッキを持ち上げ、ビールを口にはこぶ藍田。


「…サンキュ」
「…や…」


なんだか。
藍田の照れがうつりそうになりつつも、何気に嬉しかったりもして。

こんな話が出来るようになるなんて。
お互いを気遣って、労えるなんて。

やっぱり。
変わってないようで、俺たちも大人になってるんだな、思った。

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