純愛小説家
「だから。もうごまかさなくてもいいって」


ビールを注文しながら、やっぱり藍田の表情はニヤニヤしたままで。


「さすがに最初は焦ったけど。あれはもう、誰が見ても一目瞭然だし。俺的にはそっちの方が嬉しかったりもしたし」


俺はどの位、その意味不明な藍田の話を聞いていたんだろう。


「まぁ、こういうこともあるんだなぁ…ってさ」


【あの時】とは、あの学祭のことを言っていたんだと分かったのも。


「ちょっと俺たちと似てるかもな。運命的な感じとか」


【俺たち】とは、藍田とかみさんのことだと分かったのも。

まだちょっと、先のことで。
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