純愛小説家
東京にいる間、ずっと三嶋を想い続けてた訳じゃない。

忘れたことはなかったけど、時々ふと、思い出すくらいで…。

おそらく、偶然会ったと、藍田に聞かされてなければ。
こんなふうに会うことは…、会いに来るなんてことはないまま、ただ歳を重ねて過ごしていただろう。

三嶋のことは、高校時代の思い出として…。

でも…。
今その三嶋は、目の前にいて。

俺を“河合 宥(オレ)”として見てくれてる。

“河合 宥”としてしか、認識していない相手。

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