純愛小説家
歩いてきたのは、近くの遊歩道。

隣に三嶋がいることに、


─トクン…


やはり緊張を覚える。


「どうして宥は。いつも突然なの…?」


苦笑いを浮かべながら、俺を見る三嶋は。


「…ほんと。そうだよな…」


あの頃より、少し印象がやわらかく感じられて。


「いつも突然すぎて。なんの準備もできない…」


同時に。


「…ごめん」


強さも感じられた。


「あ、ごめん…。謝らないで、宥。謝るのは私の方…」
「ひかり…」


それは、あの頃にはなかった。
きっと、母親としてのやわらかさと強さ。


でも。


「嫌な言い方してごめんなさい…」
「いや…。ほんとに。俺も突然だったし…」
「…相変わらず。宥は優しいね」


微笑む顔は、まだ高校生だったあの頃と同じまま…。

< 282 / 298 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop