純愛小説家
木洩れ日の中。
ゆっくりと歩いていると、三嶋の髪が微かに吹く風にそよぐ。

そんな三嶋の横顔にさえ、以前には感じなかった愛しさが込み上げてくる。

すべてが愛しい、言うのは。
きっと、こういう事なんたろう。

思わず、笑みがこぼれた。

そんな俺を察してか。
ふと、三嶋が俺に振り向いて。


「うん。大丈夫」


頷いた。


「えっ…?」


三嶋のこういう所は、さすが、言うべきなんだろうか。


「大丈夫。訊きたいこと、全部訊いて。ちゃんと答えるから」
「あ…うん…」


切り替えの早さに、潔さ。

一瞬、戸惑いながらも。
ふと、また笑みがこぼれた。

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