純愛小説家
三嶋は。
そんな俺に対しても、穏やかな表情で。
とにかく、冷静だった。


「今でも、後悔してる…。私はあの時、宥を受け入れるべきじゃなかったって…」
「っ───」


ドキッとした。


─後悔…


それは、重々、覚悟してきたこと。

俺が、三嶋の幸せを壊してしまった…。

婚約者と離れて、寂しさが募る気持ちの隙をついて。
無理やり入り込んだ。

確かに三嶋も、俺を受け入れはしたけど。

やはり過失は、俺にある…。


「……ごめん…」


こんなふうにいくら謝ったところで。


「えっ?」
「ほんとに、ごめん…」


過去はもう、取り戻せないけど…。


「宥?待って。違う」
「えっ…?」
「違うの。私が後悔してるのは、そうじゃなくて。宥を巻き込んでしまったこと」
「…俺…?」
「私は宥を、傷つけてしまったから…」
「ひかり…」

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