純愛小説家

｢私は、今そこにあったかもしれない。宥の幸せを、壊してしまったから…｣
｢……えっ…？｣


俺の、幸せ。


｢ごめんね…。宥にばかり、背負わせて…。ごめんなさい…｣
｢─────｣


涙を堪えて、肩を震わせながらそう口にする三嶋を見て。

抱きしめたい、という衝動より。


｢違う…｣
｢えっ…？｣
｢ひかりも、違ってる｣
｢…宥…？｣


気持ちを楽にしてあげたい、思った。

俺たちは、どっちもどっち、なんだろう。
どっちが悪かったとか。
そんなのはきっと、どうでもいい事で。

いま必要なのは。
伝えること…。