純愛小説家
東京でのズルい(汚い)俺を知らない。


「無愛想とは、感じてなかった…?」


“矢野 伊月”だと知らない三嶋に会って。


「うん」
「近寄り難かったけど?」
「えっ?あ、それは…」


俺は“河合 宥(オレ)”に、戻りたかったのかもしれない。


「河合クンって。意外といじわるなんだ」
「今ごろ知った?」
「あんまり話したことなかったからね」


東京にいた時とは違う。

目の前で、並んでいる料理を次々と口に運ぶ三嶋を見てると、妙に気持ちが和んで。

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