純愛小説家
何度もちゃんと、話さなきゃ、思ったけど。

話せば、


─終わってしまう


わかっていたから…。

苦しいけど。
逢いたくて。
ただ。
逢いたくて…。

あの時は。

まさかこんな日が来るなんて、思ってもみなかった。

宥と別れて、彼とも別れて…。


一生。
ひとりだと思ってた……。
ううん。
ひとりでいなきゃって。


「けっこう。簡単に、落ちちゃったよなぁ、私…」


式まであと、どれくらい時間があるのか。

テーブルの上。


「………ん?」


【三嶋 ひかり様】


書かれた。
少し大きめの、茶封筒が目に入った。
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