純愛小説家
素の、自分…。


「ごめん。ただ、俺を覚えててくれたのが嬉しかったんだ」
「えっ…?」


この仕事は好きだし、重荷に感じてるわけじゃないけど。


─戻りたい


どこかでそう、感じていたのかもしれない。


「それは。私も、かな…」
「えっ?」


それから。


「あの頃。こんなふうに河合クンと話せるなんて、思ってなかったから」
「三嶋…」


酔いが少しずつ、まわってきたせいもあるのか。
緊張からか、お互い、けっこういいペースで酒も進み。
昔のことを思い出しながら、次々と気持ちが甦ってきて。


「ずっと。近づきたかったのかも」
「俺に…?」
「2年間も同じ教室にいたのに。どこか河合クンは、遠かったから…」


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