純愛小説家
「ずっと、好きだったんだ…」
「…!!…」
「あの頃。ずっと、三嶋を見てた…」
「…ウソ…」


微かに。
三嶋の肩が震えていた。


「嘘じゃない。じゃなきゃ、帰って来たりしない」
「…えっ?」


北海道の。
じんわり暑い、夏の夜。


「いくら懐かしくても。あんなふうに強引に、誘ったりもしない」
「河合、クン…」


夏、という季節も、俺をそうさせたのかもしれない。

少しずつ、三嶋の目が潤み始めて。


「三嶋…」


少し色づいているその頬に手を伸ばし、そっと包み込むと。


「………────」


俺は三嶋に、唇を重ね合わせた…。

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