純愛小説家
そして───。



「ン……、河合、クン…」



このまま。
朝なんて来なければいいと思った。

俺の部屋。
ベッドの上。


「三嶋、三嶋……」


何度、名前を呼んだだろう。


「あッ……河合、ク、ン…」


漏れる吐息。
その唇からこぼれ落ちる、俺の名前を呼ぶ声…。

カラダを重ねたかったわけじゃない。
抱きたくて、戻ってきたわけじゃないけど。


「────」


その声は、どうしようもなく、俺を駆り立てて。


「ひかり…───」



< 34 / 298 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop