純愛小説家
その時。


“あっ…”


ふと、昨日の約束を思い出した。

俺の新刊を、渡す約束。


“………………”


三嶋を背中から抱きしめたまま。


「……………」


迷っていた。

やっぱり俺は、どこか冷めているのか…。

今ようやく、10年越しの想いに手が届こうとしてるのに。

リスクを考えてしまう。

また、いつものように。
失望するかもしれないという、リスク…。

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