純愛小説家
「やっぱり。キスは、しないんだね…」


その、きれいな二重の大きな瞳(め)が、パッと開いて。


「!」
「あの時も、そうだった」


懐かしそうに、三嶋が微笑んだ。

とっさの反射、ってやつだろう。


「…そんな引かなくても、よくない?」


まさか起きてたなんて思わず、俺はばっと、身を引いてしまって。


「あ…、ごめん…」


とりあえず、素直に謝る。

正座してた足が痺れたのか。
そんな俺を見て、いたた…言いながら、三嶋はからだを起こすと。


「でも。なんだかホッとした」


また、笑顔を見せて。

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