純愛小説家
「今も…だけど。ほんとはあの時も、起きてたんだ」
「えっ…?」
「河合クンの姿が見えて。とっさに寝たふりしたの。あっ。今はほんとに寝てて、起きたのちょっと前だけどね」


俺も床に座ったまま、ソファーにもたれて眠ってしまったせいで。
何気に背中に痛みが走る。


「俺を見て…?」
「試したの。河合クンの気持ち、知りたくて…」
「え、気持ち…?」
「気づかなかった?私あの時。緊張で、少し震えてたの…」


そう言って、苦笑いを見せる三嶋に、


「…ごめん」


首を左右に振ると。


「それでね。私は河合クンを、あきらめた」


サラリと口にした。

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