純愛小説家

｢…えっ？｣
｢あぁ、誤解しないで。河合ｸﾝが、気づいてくれないからじゃなくて…｣


更に三嶋は、俺が誤解しないよう、そう説明して。


｢キス、してくれたら。告白しようって、思ってたんだけど…｣
｢っ…！？｣
｢ほんとに。全く気づいてなかったんだね。私の気持ち…｣


昨日、何度もからだを重ねておいて。
なに、


“こんなことで動揺してんだよ…”


思わず突っ込まれそうだけど。


｢っ………｣


俺は言葉をつまらせてしまう。


｢って。びっくりもするよね。昨日も、さっきも。私は聞いてるばっかりだったしね…｣


でも、それを聞いて。
さっきのあの、ただ静かだった時間…。
俺が迷ってる間、三嶋も、


─きっかけを、探してた…？


気づいて。