純愛小説家
昨日、何度となく、キスしたのに。

―とくん…

今のこのキスが。
なぜか一番、緊張した。

そして…。

どちらからともなく、静かに唇が離れた時。


「…好き…」


目を閉じたまま。
まだ息がかかるくらいの距離で、三嶋がつぶやいた。


「三嶋…」


いい大人になった今。
しかももう、抱いてしまった後で。
その言葉が、


『今さら必要?』


訊かれたら。
子供じみてる、言われてもいい。


『必要』


答えていただろう。

“この時”の俺たちにとって。


「私も。好きだった…」


その言葉は、何より大切で。
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