純愛小説家
「昨日でた新刊。そこの箱に入ってる」
「えっ?」


『大人』なんて名ばかりの。
俺は自分の欲望を抑えきれない子供(ガキ)と一緒で。

だからこそ俺は。
どうしても、彼女の気持ちが聞きたかった。


「うそみたい…。まさか、河合クンだったなんて…」


昨日の新刊。
過去の原稿。


「サインでもする?」
「うそ!いいの!?」


はしゃぐ三嶋の笑顔を。


「いいよ」


俺は心底、


─愛しい


感じていた。

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