純愛小説家
それぞれの持ち場。
暗幕に暗転。
足元に数ヵ所しか灯りのない、暗闇の中。

係りはふたりペア。

そう。

三嶋と二人きり…。

言ってもいいくらいのシチュエーションだった。

短めの小さな釣竿に、こんにゃくを吊るして…の、ムードも何もあったもんじゃなかったけど。


─ドキン、ドキン…


俺はその状況に。
何気にドキドキしていた。


「キャー!」

「おわっ!」


悲鳴や、怖がってるんだろう声がなければ、


「けっこう、怖えーんだ…」
「うん!優勝狙ってるからね」


三嶋に聴こえてるんじゃ…

思うくらいには…。

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