純愛小説家
「コーヒー、いつから好きなの?」


―カランカラン…


グラスに落ちる氷の音が、涼やかに響く。


「んー…。いつかな…」


ひとり、感傷的になっていたせいなのか。

ただ、コーヒーの飲み方を覚えてただけ。
それだけなのに。


「気づいたら、って感じ?」
「…そう、かな」


涙が込み上げてきた。


「はい」


嬉しい、とは違う。


「サンキュ」


まさに、

切なさ……。

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