純愛小説家
「えっ…?」
「ストーリー自体は、ほんとにきれいだよ。純愛小説だって思う」
「でも、俺はけっこう書きたいように書いてる」
「うん。だから、いいんだと思う」

そしてまた、微笑む三嶋。

「だからって…」
「きれいなストーリーを、きれいな言葉だけで綴ってても。伝わらないでしょ?」
「…えっ?」
「宥…矢野 伊月の魅力は、そこ。そのままの言葉だから、伝わるし、つい、のめり込んじゃうんだと思う」
「……………」

もし文章で表すなら。
絶句…という言葉になるんだろうか。

とにかく俺は、返す言葉がみつからなくて。

目から鱗…と表す方が、正しいのかもしれない。

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