閃光は空を駆けて
閃光は空を駆けて
四年前。


よく通っていた図書館に、新しく常連が増えた。


同じ高校の制服。


詰襟のラインの色から、同じ学年なんだと分かった。


図書館通いをする人間にはよくあることだけれど、彼はいつも同じ席に座る。


その席は、あたしの『いつもの席』の左斜め前。


読んでる本は、まちまち。


ミステリーから純文学。


ファンタジーもあれば、ノンフィクションも。


統一性のないチョイスをする人だな、というのが第一印象。


学校でもすれ違えば気づくほどには、顔も覚えて。


そのうちに、図書館に行くたびに、まず彼の存在を探すようになった。


彼がいる日は、彼の読んでいる本のタイトルをチェックして。


彼がいない日は、彼が読んでいた本を読んでみたりした。

< 1 / 10 >

この作品をシェア

pagetop