閃光は空を駆けて
雷は苦手じゃない。


空を走る電光は、あたしの目にはきれいに見える。


「雷、好きなの?」


再び、テノール。


外ばかり、というか雷ばかりを見ているあたしが不思議だったのか、彼がまた話しかけてきた。


「好きっていうか、きれいに見える」


「きれい、か。女の子はたいてい嫌いなんだと思ってたよ、雷」


「怖いっていう子はいるよね。そういう子は嫌いなんだろうけど。あたしは平気」


ぴかっ、とまた空が光った。


「停電とか困るけどね。蒸し暑くってたまらない」


徐々に上がる室温に、こめかみから汗がつたう。

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