『猫型男子の恋模様』
たしかにそうだ。
王子なら誰を誘ったとしても、みんな喜んで行きたいというはずだ。
そのくらい王子の人気はすごい。
なのにその中でなんで私たちが選ばれたのだろう。
私は、祐ちゃんがそう言って、初めてそのことに気づいた。
王子はちらりとたまくんに視線を向けてから、またこちらに戻す。
「ん──、希々ちゃんがかわいいから?」
そう言って王子は小首を傾げた。
「・・・・・・」
う──ん、なんかあるのかな?
王子はたまくんを気にしているように見えた。
本当にたまくんは謎の人だ。
みんなの王子にここまで心配されて、甘えて。
たまくんが女の子だったら、すごいヤキモチ妬かれてたんだろうな。
きっとたまくんは、そんなこと考えたりしたこともないんだろうけど。
ふふ。
「・・・なににやけてるの、相原さん」
「ふひゃ!」
いつの間に起きたのか、すぐ横にたまくんがいた。
たまくんは軽く私の頬を引っ張って、目を細めて私を見る。
「ひゃまふん」
「ふはは、なに言ってるかわかんないっ」
たまくんは、くすくすと笑って私の頬を放した。
そんなわたしたちの様子を見ていた王子がぼそりと呟く。
「・・・やっぱりな・・・」