『猫型男子の恋模様』
「ううん、全然。ほんとたまにだよ。幸が持ってくるから」
「そうなんだ」
ちらりと王子を見たけど。
王子は、こちらを見て一度微笑んだっきり、一度もこちらを見ない。
どうやらテレビに夢中みたいだ。
あとは、時折鳴るケータイをいじるだけ。
王子もよくわからない人だ。
特にたまくんと関わりはじめてからは更にわからなくなった。
二人はどういう関係なんだろう?
たまくんがここまで気を許しているのは見たことがない。
だからそれだけ王子がたまくんにとって"特別"だということがわかる。
きっと、王子にもだ。
王子もたまくんといる時だけはすごく自然な顔をする。
王子ってキャラじゃなくて、滝沢幸人くん、そのまんまな感じ。
「・・・ねぇ二人ってどういう繋がりなの?」
そう疑問に思ったことを口にした、その時だった。
タイミング悪く、ケータイの着信音が鳴り響く。
「あ・・・ごめん、オレ」
王子は立ち上がって、ベランダにでた。
残された私とたまくんは、話しを中断させられたせいか、気まづい雰囲気に包まれている。
なかなか私の問いに答えてくれないたまくん。
つまりは、それが私と彼の距離なんだろう。
まずいことを聞いたのか、なんてわからないけど。
きっと答えにくいことだったのだろう。