『猫型男子の恋模様』
王子は片肘をついて、私ににっこりと微笑みかける。
「・・・・・・」
もしかして、王子、気づいてたのかな。
私がたまくんと話したい、と思ってたこと。
「・・・幸人、困ってるじゃん、相原さん」
“相原さん”か・・・
名字で呼ばれるの、久しぶりだな。
友達やクラスの男子なんかは、みんな・・・
私のこと“希々”って、下の名前で呼ぶから。
だからなんか、たまくんのそれは、距離を置かれているように感じた・・・。
「えっと、大丈夫だよ。もう慣れちゃったから」
「へえ、すごいね、相原さん。俺はこいつといると、騒がしくてかなわないや」
「ひでーな、おい」
私は二人のやりとりがおかしくて思わず笑ってしまった。
「あはは。たまくんて、滝沢くんの前だと全然違うね」
「え?」
「相原さん、いま・・・」
あ、あれ・・・
なんで二人とも目を丸くしてるんだろ。
私、変なこと言ったかな。
そう思って、自分が言ったことを巻き戻してみる。
わ、わた・・・私、たまくんって・・・っ!!
途端に顔が真っ赤に染まったのがわかった。
「あ、あの・・・ご、ごめんなさっ・・・たったま、環くんて呼ぼうとっ!!」
弁解しようと口を開いたけど、てんぱりすぎてなにをいっているのかわからない。