『猫型男子の恋模様』
すぐ消えてしまったその痛みに私は首を傾げてたまくんを見た。
「もう顔隠さなくていいの?」
たまくんは、透き通るような瞳を細めて、ふわりと笑う。
「えっ、えっ?」
「まだ顔赤いよ」
「っ」
私はどうやら顔を覆っていた手を、胸の痛みを気にした時に無意識に下げてしまっていたらしい。
私の慌てる様子を見て、たまくんざ困ったように笑う。
「・・・相原さんはなんで俺に構うの?」
「え・・・」
その瞳はなんだかすごく濁っていた。
いつも透き通ったような瞳をしているのに。
そう切なそうに呟いたたまくんの瞳は、苦しみが滲み出るように濁っていた。
───だけど、その濁りはすぐに彼の笑顔の下に隠された。
「・・・・・・」
なにも言えずにきょとんと目を丸くしている私を見て、たまくんが笑う。
「ふはっ。相原さんて表情ころころ変わって面白いね!」
「えっ、そ、そうかな・・・?」
「うん。だから、相原さんはみんなに愛されるんだろうね。男とか女とか、そういうの関係なく」
そう言ってたまくんは私に笑いかけてくれたけど。
私はひどく気になっていた。
たまくんがその透き通った瞳を濁らせたわけを・・・。
───それを知る機会はすぐに訪れた。